糖尿病とは

血糖値を調節するインスリンというホルモンの作用が不足して慢性的に高血糖状態になる病気です。

一般的な糖尿病である2型糖尿病は、インスリンの量が減少したり効果が低下しやすくなるような体質的要因に、過食・運動不足・肥満などの生活習慣の問題や加齢が加わって発症します。

糖尿病は自覚症状はあまりありませんが、合併症が怖い病気です。


糖尿病の自覚症状

通常は症状はありません。症状が無く放置されて悪化することが多い病気です。
ただし血糖値が非常に高いと口渇(こうかつ)、多飲、多尿、体重減少、倦怠感(けんたいかん)(だるさ)などの症状が現れます。


糖尿病の診断

下の1.~4.のいずれかに該当する場合に「糖尿病型」と診断します

  1. 空腹時血糖値 126以上
  2. 糖負荷検査(75gOGTT)2時間値 200以上
  3. 随時の血糖値 200以上
  4. ヘモグロビン(Hb)A1c 6.5以上

さらに下記の3つのいずれかに該当する場合に「糖尿病」と診断します。

  1. 同日に行った再検査で「糖尿病型」の1.~3.のいずれかと4.が確認された場合
  2. 「糖尿病型」の1.~3.のいずれかに該当している上に、下記1.~2.のいずれかに該当している
    1. 口渇・多飲・多尿・体重減少など(糖尿病症状)
    2. 糖尿病性網膜症(もうまくしょう)がある
  3. 別の日に行った再検査で再度「糖尿病型」であった

※当院では血糖値、ヘモグロビン(Hb)A1c値を当日中に確認いただけます。


糖尿病の分類

1型糖尿病
インスリンを分泌する細胞自体が障害されて発症する糖尿病
2型糖尿病
生活習慣の問題とインスリンの作用不足による典型的な糖尿病
特定の原因による糖尿病
ホルモン異常・膵臓疾患などによって二次的に血糖値が高くなったもの
妊娠糖尿病
胎盤から出るホルモンが影響する妊娠中の糖尿病

このうち最も一般的な糖尿病は2型糖尿病です。


糖尿病の合併症

三大合併症

目の障害(糖尿病性網膜症)
高い血糖値が続くことで、目の奥の網膜にある血管が次第に損傷して、最終的に眼球内出血や網膜剥離(はくり)を起こします。
失明の危険もありますので、糖尿病の方は目の症状がなくても定期的に眼科を受診しましょう。
腎臓の障害(糖尿病性腎症)
高い血糖値が続くことで、腎臓にある細小(さいしょう)血管も次第に損傷して腎臓の機能低下を引き起こします。
「おしっこ」をつくる腎臓の機能低下は老廃物が排出できない尿毒症(にょうどくしょう)を招きます。
人工透析(人工腎臓)を導入する原因となる疾患の第1位が糖尿病です。
神経の障害(糖尿病性神経障害)
高い血糖値が続くことで、神経が損傷(変性)したり神経の栄養血管が傷害されて発症します。末梢神経障害と自律神経障害に分けられます。
末梢神経傷害は主に足先の感覚異常から始まります。痛みに鈍くなるため足の“けが”に気付くのが遅れ、足が壊疽(えそ)して切断に至ることもあります。
自律神経障害は内臓の活動に影響し、便秘や下痢、立ちくらみ、排尿困難などの症状が現れます。また、心臓の痛みも鈍くなるので心臓病の発見の遅れの原因になります。

大血管症(動脈硬化性疾患)

動脈硬化(どうみゃくこうか)とは

高い血糖値にさらされたり、肥満がありますと血管の表面にある細胞が傷害をうけやすくなります。
この血管の微小な傷害部分から血管の壁の中に炎症を引き起こす細胞が侵入して内部で炎症を起こしたり、血液中の脂肪分が浸みこんで血管の壁の中に脂肪の固まりをつくり、動脈硬化が形成されます。
動脈硬化

動脈硬化をおこした血管は柔軟性をなくし、硬く・もろく・壊れやすくなります。この、もろくなった血管が壊れると、血管がつまったり・やぶけたりして、主に脳や心臓といった内臓に対して重大な損傷を及ぼします。これが心臓発作や脳卒中などの動脈硬化性疾患です。

糖尿病の方は神経障害のために心臓発作の痛みに鈍感になり、心臓発作の発見が遅れることがあります。

糖尿病性昏睡(こんすい)

ケトアシドーシス
主に1型糖尿病の方に起こります。
インスリンが欠乏したりインスリン注射を中断した際に、エネルギー源として血糖を消費できないため、代わりに脂肪を消費した結果、副産物として脂肪酸という酸が過剰に生成されます。
多量の脂肪酸で体内の酸性度が上がり(phが下がり)、脳細胞の機能が障害され昏睡に至ります。
高浸透圧性昏睡
血糖値の過剰な上昇(500以上)のために血液の濃度(浸透圧)が異常に高くなり、体内が脱水状態になって脳細胞の機能が障害されます。
高齢者の2型糖尿病の方が発症する場合が多く、下痢や発熱などで脱水状態になっても口の渇きを感じず、水分をあまり摂らないことが発症の契機となります。
下痢や発熱の時には普段よりも水分を摂るようにこころがけましょう。

低血糖

糖尿病自体の合併症ではありませんが、主に糖尿病の薬が過剰に作用することで起こります。
症状は冷や汗、脱力感、空腹感、ふるえ、動悸(どうき)などが主ですが、意識障害を起こすこともあります。
食事が少なかったり、服薬後に食事が遅れたり、食事を抜いたり、空腹で運動した時に起こります。


糖尿病と一緒に治しておきたい病気

糖尿病と同様に動脈硬化の危険因子である高血圧高脂血症は糖尿病と合併することも多いので、一緒に治療しましょう。
タバコも動脈硬化を進行させますので禁煙しましょう。


糖尿病が気になる方へ、いままでの生活習慣を変えてみませんか

体格を気にしてみませんか。
肥満解消へ、内臓脂肪を減らしましょう。
下記の体格の目標にがんばってみましょう
  • 体重(㎏)÷身長(m)÷身長(m)が25未満
  • 腹囲 男性85cm未満/女性90cm未満

食習慣を是正しませんか。
一日に必要なエネルギーを測ってみましょう
一日エネルギー量は身長(m)×身長(m)×22×「身体活動量」で推計できます
計算の際の「身体活動量」の目安は・・・
  • デスクワークの方・主婦の方 25kcal
  • 立ち仕事が多い方 30kcal
  • 力仕事が多い方 35kcal
たとえば、身長160cmで事務仕事の方の場合、一日で
1.6 m ×1.6 m ×22×25 kcal=1408ccalくらいの量の食事を摂取するようにしましょう。
バランスよく食べましょう
一日3食、規則正しく食べましょう
食事を抜くと空腹時間が長くなることで、次の食事の際に吸収効率が増し、血糖値が上昇したり、体脂肪がつきやすくなったりします。
栄養のバランスに気をつけましょう
主食、肉・魚、野菜をバランスよく食べましょう。脂ものや菓子・お酒は控えましょう。

運動をしてみませんか。
スポーツや、きつい運動は必要ありません。毎日30分以上のウォーキングをしてみましょう。
服薬中の方は食後に運動しましょう。

禁煙しようと考えてみませんか。
煙草をやめてみようと思うことが大事です。

糖尿病の治療のながれ

初回の診察時
  • 食事内容や運動についての質問
  • いままでの経過や危険因子についての質問
  • 血糖値・脂肪分・腎臓機能の血液・尿検査
  • 合併疾患の有無につき確認
  • 必要に応じて、心電図超音波検査
  • 生活習慣の是正についてのアドバイス
  • 血糖値が非常に高ければ飲み薬を開始

ご家庭で

↑ ↓

再診ごと

※当院では血糖値、ヘモグロビン(Hb)A1c値を当日中に確認いただけます。