ノロウイルスとは
ノロウイルス(Norovirus)は乳幼児から高齢者までの幅広い年齢層に感染性胃腸炎を引き起こすウイルスです。
特に冬場に多くの方に胃腸炎を発症させて流行を引き起こすほか、冬の食中毒の代表的な原因ウイルスにもなっています。
ノロウイルスの感染力は非常に強くて、直径がたったの10万分の3ミリメートルのウイルスが100個以下という少量でも口から入ると腸の中でウイルスが増えて胃腸炎症状を引き起こします。
感染した方の便や嘔吐物には1グラムあたり100万から10億個ものノロウイルスが含まれており、新たな感染の原因になります。
ノロウイルスを含めた胃腸炎で当院を受診された方について、1年間の来院状況をこちらからご覧いただけます。
胃腸炎の季節変動
ノロウイルスの感染経路
- ノロウイルスはカキなどの二枚貝の内臓に存在していることが多く、生や加熱不足の状態で食べると感染します。食材の鮮度は関係ありません。
- 生ガキなどを摂取していなくても、ノロウイルスが付着した手や包丁・まな板などの調理器具で調理された食品を食べたり、食器にノロウイルスが付着していたりしても感染します。
- ノロウイルスによる感染性胃腸炎の方の便や吐いた物をごくわずかでも触った手や、それらがごくわずかに付いたタオル・衣服・掃除用具・トイレや洗面台の水洗などを触った手に付着したウイルスが、食事の際などに口から入り感染します。
- 便や吐いた物がついた後に乾燥した雑巾・衣服・寝具などのほこりに付着していたノロウイルスが呼吸とともに体に入り感染します。
ノロウイルスの流行のしかたを見ますと、初期には抵抗力が弱い小児などから始まり、子供から大人へ感染が拡大し、次いで大人同士でも感染が広がります。
さらに感染した大人が食品関係を扱いますと食中毒の発生につながります。
カキなどの二枚貝による感染は主に流行期の後期に見られており、感染した方から放出されたノロウイルスが、川から海へと流れ込んでカキを汚染することが原因である、と考えられています。
ノロウイルスの症状
ウイルスが体内に取り込まれてから24~48 時間(1-2日)程度で発症します。
主な症状は、下痢・吐き気・嘔吐・腹痛・発熱などで、通常は1-3日程度で回復しますが、ノロウイルス自体は症状が改善してからも、感染して1週間程度から、長いと1ヶ月以上にわたって便の中に排泄され続けています。
ご高齢の方や乳幼児など体力・抵抗力の低い方はノロウイルスに感染しやすく、下痢や嘔吐などの症状がきっかけとなって脱水状態など重症化して死に至る危険もありますので、周囲で感染している方がいる場合は特に注意が必要です。
ノロウイルスに感染した時の治療法
ノロウイルスの特効薬があるわけではありません。
一般的な治療は症状に応じて吐き気止めや整腸剤などの薬を使用する対症療法です。
脱水状態にならないように水分の補給をこころがけましょう。嘔吐・下痢を繰り返していて、水分の摂取も困難な際には点滴による水分補給が必要になる場合があります。